しばらくサボってたレビューを特大版で。

『週間少年「」』大田出版
漫画が好きな人は漫画家そのものにも興味が湧くものである。そんな漫画好きの興味をかきたてる本。
スカパーのフジテレビ721でやってた番組を本にしたもので、内容は基本的に船越英一郎”編集長”のマンガ家との対談。
他の対談本と違うのは「100の公開質問状!」(帯より)の形式を取っていること。
これによりその漫画家のデータや裏話を手っ取り早くかき集めることに成功している。
「好きな酒は?」「尊敬する人は?」みたいな質問から、漫画家になったきっかけ、使っている道具、
はては「『銀牙』で好きな犬は?」「嫌いな超人は?」の様な、相手の漫画家ごとに突っ込んだ質問を投げかけているのだ。
漫画家のラインナップも、巨匠ばっかり、ではなく第一線で描き続けているベテランだけを選んだ絶妙なもので、特に高橋よしひろのインタビューは貴重だろう。
表紙には「NO.1」とあるが、二冊目以降を出して欲しいものである。


おしぐちたかしインタビュー集 漫画魂』おしぐちたかし白夜書房
漫画の森で無料配布されている冊子のインタビューを集めた本。当然漫画家は絞られている。おしぐちたかしまんがの森の本店店長。
統一性が有るような無いようなラインナップだが、興味の無い漫画家のインタビューを読むと反って発見が有ったりする。
一読して思うのがみんな漫画に対して真摯な態度で臨んでるなと言うこと。
せっかくなのでこれまでの小冊子の分全部単行本化して欲しいものだ。


『一億人の手塚治虫JICC出版局
現在絶版だがまんだらけとかブックオフで結構見かける。
手塚治虫が亡くなってすぐに出版された本で、内容は基本的に雑誌・新聞・著名人等の手塚治虫に対するコメント、そして手塚治虫本人のコメントをひたすら集めたもの。
それも単なる追悼文集ではなく、「カットアップ伝記」「トークイン手塚体験」といった章題からも分かるように
石子順造手塚治虫の論争や虫プロ倒産関係の生々しい記事、ジュディ・オングとの対談、西武ライオンズ関連の堤オーナーのコメント等、
多くの切り口で手塚治虫そのものを捉えようとする本である。
手塚治虫は漫画と共に戦後を駆け抜けているため、漫画史の勉強にもなるし、昭和天皇と同じく手塚治虫そのものが研究対象になることがよく分かる。
漫画に興味のある人なら間違いなく面白いので、見つけたら即入手をお勧めする。絶版には大人の事情があるらしいし・・・