ヨイコノミライ

昨日完結巻が発売された「ヨイコノミライ」(きづきあきら)が凄い。本当に凄い。
もし全財産が5000円以上有ったら、漫研用といじまん用に買って寄付したいくらい凄い。


大越孝太郎の『天国に結ぶ恋』並の衝撃を受けたし、巽VSサクラ戦並に感動した。
俺は漫画を読んでて面白いと感じる時はよくあるけど、大抵の場合は「オモシロイ、オモシロイ」と感じながら読んで、読み終わったらすぐに別行動に移れる。
読んだ後、いてもたってもいられなくなる漫画はそうそう無い。思えばぺんぎん書房から出てた旧版を読んだ時もこんなテンションだったな。


俺の眼力で完璧に説明するのは無理だけど、どう凄いのか説明。


まず絵。
独特だが正統派の萌え絵で、巧い。大きい眼と繊細な髪の毛の描写がツボにはまった。自分でこんなツボがあったのかと気付かされた。
いささか誇張気味に描かれた太ったキャラや醜男キャラですら、動きに不自然さが無い。
オタ向け漫画が「アニメ絵の〜〜」とか言って揶揄されていた時代は過ぎ去ったのだなぁと実感する。


原稿のデジタル処理に関しても、今まで「手抜きとまでは言わないけど・・・」くらいに思っていたのが、もう間違いなく数ある選択肢の一つになったのだなと思った。
CGの、冷たい感じと言うか、乾いた感じと言うか、とにかく“無感情”では決してないある種突き放したような意思を感じさせるような効果が、オタク文化という現代的テーマと意外なくらい合っているのだ(←言っちゃった)。


次に話。
オタクで、しかも漫研を取り扱っているという時点でもう俺にとって何も無いわけが無いんだけど、この漫画は他のニートが開き直った様な漫画とは一線を画している。


まず、大学ではなく高校漫研というのが巧い。思春期だから恋愛事で悩むし、恋愛事以外の事でも思いきり悩む。大学生になるともう恋愛と将来くらいしか悩むものが無くなる。
この文を見て下さっている方には、是非ご自分で読んで頂きたい作品なのでネタバレはしないが、もう一つだけ話作りの巧いと思った点を挙げると、「安易に全員救わないこと」。ラストでは、予想を裏切られた点がいくつも有った。


そしてキャラクター。
キャラクターがいかに立っているかを説明するのは難しい。とにかく立っているとしか言い様が無い。
贅沢なくらいに各キャラクターが特徴的であり、実際の漫研はこんなに個性派が集まったりしないよ、と思ってしまう程だ。


★★★★★


書く前から分かってたことだが酷い雑文になった。↑の文を読んで「ヨイコノミライ」がツマンなそうな作品だと思われたら申し訳無い。
呉智英先生のような紹介文をビシっと書きたいものだ。


西洋文明を目の当たりにした江戸幕府の役人が、スゴいと思いつつどうすごいのか上手く説明出来ないでいる、みたいなものと思って欲しい。


★★★★★


俺はこの作品のキャラクター程打ちのめされてないし、悩んでもいません。
「漫画が好き」という感情だけが漠然とあるだけ・・・
俺が今寝ようとしている瞬間にも10万単位の漫画家志望者が寝る間を惜しんで描いているんだろうなぁ